【トレンド分析】近年の「お墓事情」について

「墓石」の検索トレンドについて「Googleトレンド」上で調べてみると、毎年8月13日の「盆入り」にあわせて注目度が高まる傾向が見られました。

この時期に墓石に関する話題を発信するメリットは、多くの人がお墓について考えるタイミングだからこそ、情報を「自分事」として受け取ってもらいやすい点にあります。一方で、お盆シーズンは各社がさまざまな情報発信を行うため、発信内容が埋もれてしまう可能性もあります。

そこで重要になりそうなのが、近年注目されている社会課題や価値観の変化と結び付けて情報を設計することです。

「お墓じまい」が映し出す現代のお墓事情

近年、「お墓じまい」が注目を集めています。その背景には、少子高齢化や核家族化、都市部への人口集中と地方の過疎化といった社会構造の変化があります。

かつては家族や親族が近隣に暮らし、代々お墓を守ることが一般的でした。しかし現在では、遠方に住む子ども世代が増え、お墓の維持や管理が大きな負担となるケースも少なくありません。そのため、「お墓のお手入れの難しさ」が生活課題として浮かび上がり、「お墓じまい」を検討する人が増えているようです。

実際に、昨年2025年8月も「お墓じまい」に関するニュースが印象的でした。取材の中でも「終活」の一環でしょうか、管理費や将来的な負担を考慮し、生前のうちに墓じまいを進める人もいると伝えられています。
参考:読売新聞 「壊れた墓を直すより共同墓地に」…能登半島地震の被災地で「墓じまい」加速…地域のつながり弱まる恐れ
参考:ミヤテレNEWS『墓じまい』増加…サブスクや仮想空間でのお墓参りも、いまどきの“お墓事情”
⇨また、関連する動きとして「樹木葬」への関心も高まっています。Googleトレンドを確認すると、「樹木葬」は現在、「墓石」と並ぶほど注目度が高まっているトピックでした。(記事内では、2018年のコロナ禍から樹木葬の需要が急増し、2019~2020年ごろに一般墓より割合が高まったタイミングを示したデータがありました)

さらに興味深いのは、「樹木葬の形態」も進化していることです。近年では古墳を模した樹木葬なども登場しており、お墓のあり方そのものが多様化していることがうかがえます。
産経新聞にて、この世相を示すような記事を見つけました。
参考:産経新聞 「シン古墳」で樹木葬が人気 最古の遺跡を再現、現代の墓問題に対応
野田ほたるローズガーデン 古墳墓について

墓石は「役目を終えた後」どこへ向かうのか

お墓じまいが増える中で、もう一つ注目したいのが「撤去された墓石の行方」です。

CBC NEWSが取材した「令和のお墓事情」に関するニュースでは、「片づけられた墓石はどうなるのか」というテーマが取り上げられていました。

記事内で紹介されていた矢田石材店様では、お墓じまい後の墓石を道路舗装や道路の下地材として再利用する取り組みを行っていました。平均的な墓石は1〜2トンもの重量があるため、個人で処分することは難しく、専門事業者による対応が不可欠であり、その役割を担っているとのことです。
リンク:矢田石材店 ホームページ 矢田石材店は愛知県のお墓とおみおくりの会社です

また、墓石の再利用だけでなく、墓地へ続く参道や道路の舗装を手掛ける石材店も見られます。実際に地域住民から行政へ「墓地までの道路を整備してほしい」という要望が寄せられている自治体もありました。
参考:北海道 茅室町公式ホームページ すまいる+(プラス)北芽室北5線のお墓の道路を舗装してください

参考:お墓への参道の舗装を手掛けた美和石材様の施工事例ページです。

参考:美和石材 墓地の参道工事 東京より帰省して実家の墓参りをするのに墓までの参道が荒れて危ないとの事で参道整備の依頼がありました。
⇨ものすごく綺麗に舗装されておりました。

お墓をつくるだけでなく、お墓へ向かう道を整え、さらには役目を終えた墓石を新たな形で活用する。石材店様の仕事もまた、時代とともに広がりを見せているようです。

墓石が伝える「記憶」と「歴史」

お盆の時期には、お墓を通じて歴史を伝える活動も行われています。
朝日新聞:無縁仏眠る墓、墓石代わりにボタ 朝鮮人労働者を追悼 福岡・飯塚

朝日新聞では、福岡県飯塚市にある「筑豊富士」の裾野で営まれた追悼式を紹介していました。この場所には、かつて筑豊炭鉱で働き亡くなった朝鮮半島出身の労働者たちが眠る墓地があります。

ここで特徴的なのは、墓石の代わりに「ボタ」が置かれていることです。

「ボタ」とは、石炭採掘の際に出る低品質な石炭や岩石のことで、それらが積み上がってできた人工の山が「ボタ山」です。中でも「筑豊富士」は、その美しい景観から地域のシンボルとして親しまれています。
参考:飯塚市観光ポータル 忠隈のボタ山(ただくまのぼたやま)

1930年代から戦時期にかけて、日本では炭鉱労働力を補うため朝鮮半島から多くの労働者が集められました。その地で亡くなった人々を同胞たちが埋葬し、墓石の代わりとしてボタを置いたことが、この墓地の始まりとされています。

現在もNPO法人「無窮花(ムグンファ)の会」が毎年追悼式を開催し、その歴史を後世へ伝え続けています。

その時代”らしさ”は、お墓にも表れる

こうして見ていくと、お墓は単に故人を弔う場所ではなく、その時代の社会背景や人々の価値観を映し出す存在でもあることがわかります。

管理の負担から生まれたお墓じまい、新しい供養の形として広がる樹木葬、役目を終えた墓石の再利用、そして歴史を語り継ぐ墓地の存在——。

社会や暮らし方が変化しても、人を偲び、記憶を残そうとする想いは変わりません。

今年のお盆は、「お墓参り」という身近な行動の先にある、こうした現代のお墓事情にも目を向けてみると、新たな発見があるかもしれません。

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